30th EP10

-前回のあらすじ-

それぞれの歯車は。噛み合う事でひとつの時を刻み始めるんですね。

ある日、Qちゃんがうちに連れてきたもう一人のN9。TK。

初対面で感じた雰囲気。近寄り難さと同時に近づいてみたい。そんな好奇心に駆られる空気(存在)感。すげー渋くてね。なんかこう。実際よりも大きく感じたかな。

こういう時って本能で感じるんですね。中間やグレーはないな。ふたつにひとつ。割れるか交わるか。そのどちらか。俺はそういう人間が好きです。

同じ1970年生まれ。それってなんかあがるでしょ。ふとした話の流れ。1987年に戸畑バイパスを埋める台数の暴走があったんだけど。実はお互いその中に居たっていう。そんな事あるんだ。俺たちの中ではギャグでしかなかった。

久々に腹から笑った日。そして交わった。あの日、目を惹いた闇音符のタグはTKが描いたものだった。

モンさん(ソロモン)とヤッチーがチームのハッセンとジン、のちにカツオ。スクールの生徒で当時女子高生だったゆうちゃんとさっちゃんを。N9はバックDJのファジーを連れてきた。TAO。プリングルス。N9。そして俺。

次に会った時にはすでにタイトルも決まってた。フライヤーも完成してた。感性に溢れ。アイデアは尽きない。正直言うとね。ついてくのに必死だった。そう思える事にあがってた。

こうして始まった HIP HOP BABEES at G SPOT。ゲストを迎えての二夜を終え。全員の中でひとつの答えが。ゲストはいらんよね。俺たちだけで完璧。やね。

ちょうどそのタイミング。ある週末にN9の二人がうちへ。その夜二人は博多でライブ。その当日にDJのファジーがバックれ。その夜だけ代わりに演ってほしいと。

即答だった。

演ってみたい。いや。むしろ演りたかった。二人のライブを間近で聴いた時から勝手にイメージしてた。阿吽の言葉を音で紡ぐ高揚感。思ってた以上だった。結果的にナイスバックれ THANK U SOUL MUCH ファジーお元気で。

足してみた。引いてみた。こうして揃ったBABEESは一つのコード。完璧な和音で。それぞれの表現に惹かれて。知っていくにつれ憧れて。この頃から自分自身のDJ観にも変化が。

音楽に大切なのはエゴ。そこにほんの少しのラブが必要。

音楽愛というのはエゴで。信頼される事で。応えたいという気持ちが生まれ。それ以上にみんなにあがって欲しい。それまでの俺に足りなかった。というより0だったものがこの時に生まれて。ひとり空回りしてた歯車が噛み合って。

ずっと作りたかったもの。俺の頭の中。想像の世界。ひとりでは出来ない事だけど。誰でもいい訳じゃなく。いつか。そういつか。強くイメージしてた事。

俺の初めてのレコーディングは4チャンネルのMTR。MCのイントロで始まり。ファミリーのシャウトで繋ぐDJミックス。そうして完成した一本のカセットテープ。

何かを作る時は今でもそう。タイトルは作る前から決まってた。

スケーターのチャボが高架下に描いてた802HOMEのタグ。このテープに収録したレコードのラベル。その二つを合わせてつけたタイトル。

それが 802FLAVA 。

I&I