30th EP16

-前回のあらすじ-

人生の場面。意外な場所で人間関係を築く事があって。

ガサ入れからの逮捕。BLUE。

取調べは新人、中堅、ベテランと。捜査官が入れ代わり立ち代わり。その都度、話は一から。こうして供述の矛盾を引き出してく。これが手順なんだと思う。あとは一人の捜査官が供述を固めて調書にするという流れ。

重要なのは前半戦。まとめに入れば後は流れ。そこは人にもよるけど。世間話なんかを交えつつで。担当は歳も近そうな中堅の捜査官。人間性は何気ない言葉の端々にこそ出るもので。そこに波長を感じるというか。それが意外な場面。意外な相手でも。

何気ない会話の流れから。ガサって楽しいでしょ。ふと聞いてみた。するとね。これマジで内緒だから。そう言って。俺の知り合いのガサに入った時の事を話し出して。本人を知ってる分。想像つくから笑い震えるくらいツボで。

そうくるなら俺も。ってなるよね。そいつのクソくだらない話をすると。それが捜査官のツボに入ってね。こうなるとお互いね。おもろ勝負。実際、このくだらない雑談のせいで調書が長引き。拘留が一日のびちゃって。調書にサインする日。終わっちゃうね。そうボソっと捜査官が言ってたの覚えてます。

送致の日。

その日も担当はその捜査官で。そろそろ拘置所に着くってタイミングで車を脇に停車。同乗してた他の捜査官も。俺も。ん?

その人は運転席から振り返ると。軽いのだけど。しばらく吸えなくなるもんね。そう言って自分の煙草の箱を差し出して。同乗する捜査官もただ黙って。その一本を吸い終えるのを待ってくれてた。

昭和の頃は。映画の1シーンみたいに。令状も容疑もなく。いきなり自宅で手錠掛けられて連行される。ただの嫌がらせ。本当にね。少なくなかった。でもね。

この30年以前にも。こういう場面がいくつかあって。国家権力=バビロンとは俺の中で結びつかないかな。どの世界もやはり個々の人。俺はそう思います。

I&I