それからというものカセットデッキは常にREC。早起きして練習。バイトから帰って明け方まで録音。タンテが届いて一週間くらいかな。46分のテープの両面が録れたのは。
すぐに３本くらいダビング。友達が働いてた駅前の小さなレンタルCD屋ロックスに置いてもらって。それが奇跡的に１本売れちゃって計500円。本当に嬉しかったし気分だけはDJだった。
その後も毎日早起きして。明け方まで。それでも時間が足りなかった。それがある時に閃いて。そっか。仕事など辞めてしまえばいい。この時は機材の前に立ってたい。ただそれだけで。ちょうど今くらいの季節。1993年の冬。
ずいぶんと時が経って。振り返って。後付けたり、こじつけたり。考えてみればそういう事だったと。たわごと繋いでいくのが人生の意味だと思ってます。
ここからは独学の始まり。クラブも行った事ないし、レコードの買い方、すべて。何を学べばいいのか。それを探す事から。
まったく苦にならなかった。むしろ知っていく事ひとつひとつ。昨日まで寝ずにやってた事が間違いだと気づく事にも感動して。
知らない事を知りたい。初めて足を運んだパーティ。場違いな気がして人見知りには居心地の悪い空間。一人フロアの隅っこでDJを聴いて。
俺の方がやれる。ただの独り言。ブースに立てない事がくやしくて。そこに立つ方法も分からなくて。そんな苛立ちやストレスも力になって毎日録りまくって。
彼女や友達に聴かせるだけのカセット。テープの長さも46分から60分テープ、60分から90分テープへと。
この時は気づいてなかったんですね。そのテープがゆっくりと少しずつ。人の手から人の手へ。自分の知らないところで聴かれてた事を。
I&I