30th EP2

-前回のあらすじ-

頭の中で何かが弾けた瞬間。それまでぼんやりと眺めてたもの、すべての辻褄(つじつま)が合ったんですね。機材ひとつひとつの細かい役割であったり。なによりそこから生まれるもの。頭の中で具体的、そして立体的に。

始める理由、やる意味。そんなのどうでも良かった。

最初のDJミキサーは中古のオーディオテクニカ AT-MX33。バイト先のデライトに依託販売してたものを5000円で。一苦労だったのはターンテーブル。

先ず売ってる店がないから家電店を周って説明をする所からっていう。ようやく注文できる店を見つけるも一台69800円×2。まさかの値段聞いて気を失いかけたけど買うしかないよね。彼女のカードで。

俺の人としてのクソ具合。そこも交えて話すとさらに長くなりそうなので、音楽にフォーカスしながら進めていこうと思います。

今と違って世の中ゆっくり動いてた時代。注文から二ヶ月くらいかな。届くの待ったと思う。その頃。二、三度バッテラさんちで基礎を教わって。バイト中も質問攻め。毎日毎日うざかったと思う。そのうち答えてくれなくなったもん。

でもね、この人は本当に良い人で。バイト辞めた後も気に掛けてもらってた。その時代に借りたままのYAMAHA TX16Wは今もラックに納めてます。

1992年11月。

新品のTechnics SL-1200mk3とSHURE M44G。空箱ほっぽらかして届いたその日から録り始めて。当時はカセットテープですね。46分のカセットテープ。失敗しては最初から録り直しを永遠。明け方まで掛かってやっと半分の23分。

感動だった。疲れと眠気も限界だったけど片面の録音を巻き戻しては繰り返し聴いて。いつの間にか寝落ちて。

本当に幸せな気分だった。目覚めたベッドの前に俺のDJセットがある事が。

I&I